空つぽの埠頭
今日は船もなく静まりかへつてゐた。小さな人かげはあちらこちらに見える。
作業する人たちが去つたかと思ふと釣り人が現れる。彼は帽子のかはりかヘルメットをかぶつてゐる。風に吹かれた釣り糸が震へてゐるのが、暗い水を背景に薄く見える。すれちがひながら「なんだ写真か」と、つぶやく声を聞く。
Polaroid 690 + 600 film
今日は船もなく静まりかへつてゐた。小さな人かげはあちらこちらに見える。
作業する人たちが去つたかと思ふと釣り人が現れる。彼は帽子のかはりかヘルメットをかぶつてゐる。風に吹かれた釣り糸が震へてゐるのが、暗い水を背景に薄く見える。すれちがひながら「なんだ写真か」と、つぶやく声を聞く。
Polaroid 690 + 600 film
道端や堤防に開いた魚が干してあるのは見慣れた光景だが、その影に気づいたのは今日が初めてだつたか。日に当てられてゐるのだから、なるほど影もある筈だ。
柵に突き刺さる瓶を過ぎると赤いもの積まれてゐる。近づいてみると壊されて棄てられた鳥居。
浜から吹上る砂を止める網。漁網が引揚げられる方向にある柱。
それは何を捕まへるためのものか。
Polaroid SX-70 + SX-70 film ; Polaroid 690 + 600 film
2006/11/26(日) 17:30:17 [カメラやフィルム] #
Polaroid SX-70 + SX-70 Blend Film
新しいフィルム、SX-70 BLENDを試しに使つてみた。なるほどフィルムのパックにNDフィルターが貼つてある。カメラ:SX-70に合せて見かけの感度を下げるために、高感度フィルムにわざわざ付けたのである。600フィルムをSX-70で使ふための知られた方法だが、フィルム・メーカーがそれをするとは。事情があるのだらうが、なんで低感度のフィルムを作らないのか。
※以下、画像はクリックで拡大
(left)Polaroid 690 + 600 Film; (middle)SX-70 + SX-70 Blend Film; (right)SX-70 + SX-70 Film
それはそれとして、マニア向けの単なるアイデア商品(ちよつと便利といふ程度)かと思ひきや、これがなかなか良いのである。降りだしさうな曇り空の下で冴えた色を出す。曇り空が青みがかるのは好ましい。600フィルムでは赤みがついてしまふ。フィルムそのものが600フィルムと違ふのか、フィルターに細工があるのか、使ひ切つたら「NDフィルター」を調べたい。
隣町の遠い端の港はひどく静かだつた。羽音が耳をかすめる。一羽の青鷺が低く飛んで行く。
雲が多い空。翳つたかと思ふと、日が弱く戻る。やがて強く差すが、また翳る。物に宿る影が、ゆつくりと息づくやうに現れては消える。
Polaroid SX-70 + SX-70 Film
すでに埋立がすすんで意味のない堤防の突当りに、さらに昔には海上に立つてゐた岩。木々が茂つて小さな山になつてゐる。近所の紅葉といへば、こんな程度である。
Polaroid Model 185 + Type 669
草が茂り、やがて枯れて、また姿を見せた。この場所にこの形で一年以上ある。洗へばまだ使へさうな、然し逆さにしたら何が出て来るのか。
庭石のやうに動かない。
立掛けられてゐたものが、風に磨かれながら眠りについていく。
かつて海に沈められ生物を擁してゐた證に白く乾いた富士壷の殻で飾られ、今は空罐を。
元の形から変つていく。船から少しづつ遠ざかる。
Polaroid Model 185 + Fujifilm FP-100B(expired)
Fujifilm Fotorama MX800 + FI-800GT Film
犬山の「リトルワールド」にある西アフリカのカッセーナ族の家、と言はれてもよく分らないが、とりわけ奇妙な家である。解説はあるが、ここに人が住むありさまは、まして日本の秋を背景にしては想像しにくい。
時間をかけて眺めたが、口では説明しにくい造りの建物で、これを理解するには、あつた場所・住んでゐた人々の、自然環境、仕事、家族制度、宗教まで理解しなければならないのだらうな、といふことだけ分つた。それにしても、この家に暮してゐた子供も、こんな光と影に様々な獣や魔物の姿を見出して、面白がつたり、怖がつたりしたことはあつただらう。
Polaroid SX-70 + SX-70 Film
木枯しも止んで、今日は暖い。峠の向うの港へ寄つてみる。長い坂を上り、下りると、はたしてそこは光に満ちてゐた。
寒さに備へて、カメラとフィルムとを温める懐炉を用意したが、必要はなかつた。手のひら、靴の下に弱い熱を感じた。
少いフィルムが盡きて、それでもまだ美しいものが、小さな港と集落のいたるところにあつて、それを心に刻むやうに、しばらく歩いた。
Polaroid Spectra Pro + Spectra Film
小さな崎をめぐる径もしばらく来ないうちに、すつかり秋深い眺めになつてゐた。背高泡立草は枯れ始めて、薄や葦の穂が空と海からの日差しに光る。
崖の下、木立のはざまに、まだ形の残る浜独活が、つかの間、斜陽に照らされてゐた。
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Author:汐ヒ
海辺の小さな町で小さな写真を撮ります。
カメラ、フィルムなどに関する質問などもどうぞ。インスタント写真の楽しみが、多くの人にひろがることを願つてゐます。
入力例:sx-70 690 procam spectra joycam pocket one instax ace mx close tele...