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ひび割れたポラロイド写真 / Andrey Tarkovsky : Bright, bright day

2008/10/19(日) 23:37:40 [写真集] #

タルコフスキーの「ポラロイド写真集」のことは以前少し書いた(タルコフスキーのコダック / Instant Light: Tarkovsky Polaroids)。新しい本が出てゐるといふので買つてみた。別の写真があれば見たいと思つたのだ。

  • Andrey Tarkovsky, Bright, bright day (white space gallery & Tarkovsky foundation, 2007)

前半は、まづタルコフスキーの父である Arseniy の詩(タイトルはそこから採られた)、そして、写真にも登場する息子の Andrey A. Tarkovsky(真ん中にA.がつくだけで、同じ名前?)及び編者の写真家 Stephen Gill の文、そして、タルコフスキー自身による、自分が子供のころに写された家族写真を説明したエッセイになる。このエッセイとともに載つてゐるモノクロ写真は、Lev Gornung が写してゐる。これがたいへんに素晴らしい。本の販売元の宣伝で読める説明では、父の友人の詩人らしいが、もはや写真家なのではないだらうか。

後半が、タルコフスキーの写真になる。インスタント写真の白い枠は省かれて、A4ほどの寸法の本に収まる範囲で拡大されてゐる。光沢がない紙のため、インスタント写真らしさがなく、ポラロイドとコダックとの差もあまり感じられなくなつてゐる。原寸大で元の写真の再現を意図した、Instant Light とは全く違ふ。特にインスタント写真への関心からすると面白くないが、発行者、編者が本の形で新しい作品として作りなほしたといふことだらう。

作品はすでに見たものも多い。追加されて新しく見られるものには、家庭の日常が目につく。タルコフスキー本人もよく出てくる。本全体として、彼の幼年時代と、晩年の家族の記念写真を並べた格好である。何枚かのポラロイド写真に、ひび割れが入つてゐるのが見られる。それはいかにも古びた印象を見る人に与へる。すべて昔のことなのだ。父の詩と、これらを懐かしいと感じる資格のある人の序から本が始まるのだから、写真で綴られた、ある家族の歴史といふことだ。さうなると、私としてはどうも興味が薄れてしまふのだが、タルコフスキーのファンには楽しめる本だと思ふ。

Tarkovskyの本

本のなかでは、写真をまとめてpolaroidsと呼んでゐるが、やはり「Kodak」とは、どこにも見当らない。さうと知らなくたつて、写真を裏返せば 印刷されたKODAK の文字は目に入る筈であるが。コダックフィルムで写された写真を注釈なしにポラロイドと呼ぶことに私は反対なのだが、他の人にはどうでもいいことなのだな。

参考:http://www.brightbrightday.com/

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ポラロイド オランダ工場の人々

2008/02/15(金) 01:05:16 [写真集] #

Polaroid op polaroids

ポラロイド600フィルムの箱には Made in The Netherlands by Polaroid(Europa) B.V., Enschede. と記されてゐる。スペクトラフィルムもさうである。かつての500フィルムもさうである。オランダのエンスヘデには、ポラロイドのインテグラルフィルム製造の中心的な工場があるのである。

ちよつと前に、Polaroid op polaroids(2005) といふ写真集を手に入れた。副題に Vestiging Enschede in beeld とある。ポラロイド社をテーマとしたポラロイド写真集であり、特にエンスヘデなのである。文章はほとんど全てオランダ語で書かれてゐる。社内や地元向けに作られたのか。工場のなかで働く人々が、製造設備など工場の様子とともに描かれてゐる。

簡単な説明があるが、何しろオランダ語だからよく分らない。とにかくフィルムを大量生産する工場である。建物の横には巨大なタンクがある。資材置場がある。薬品の調合をするであらう大きな釜のやうなものがある。金属板を巻いたものがあるから、フィルムカートリッジに仕込むバネもここで作る。電池は外から部品として入つてくるみたいだ。フィルムを作り、組立てる工程ごとに機械がある。何をするものか分らないが、いろいろある。検査係がゐる。事務員がゐる。倉庫番がゐる。ここでは作られてないピールアパートフィルムの箱も見える。I-zoneの箱詰めもやつてゐる(ちなみにI-zoneフィルムはメキシコ製)。配送の基地にもなつてゐるのだ。会議をしてゐる人がゐる。食堂もある。社員たちの顔を撮つたポラロイドが一面に貼られた壁がある。

働いてゐるのは比較的年配の人が多い。中心なのは四十代から五十代くらゐ。若者は少い。職人の風貌である。立派な人たちに見えてくるのは、こちらが Polaroid-addict だからかもしれないが。この本が出たのが2005年で、ポラロイド社の経営が一度行き詰つた後になる。経営悪化の一因に、従業員の高齢化で労賃が上がつたこともあると、どこかで読んだ。「卒業アルバム」ではなからうが、何だか先を見越して、記念に作つた感じの本なのだ。写真の説明には一人ひとりの名前もある。彼らは、今ごろ万感の思ひでフィルムを作つてゐるのだらう。

写真の撮影者として、三人の名前と顔写真が載つてゐる(Klaas Schipper、Marcel Geerdinck、Eric van Ham)。Schipper氏のサイトがあつた。彼はエンスヘデの写真家だ。

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タルコフスキーのコダック / Instant Light: Tarkovsky Polaroids

2007/10/28(日) 22:06:39 [写真集] #

アンドレイ・タルコフスキーの「ポラロイド写真集」:Instant Light/Tarkovsky Polaroids は、よく売れたみたいだ。大衆的人気はないにせよ、さすが有名映画監督なのだ。発表を意図して写した作品ではなささうで、身辺の眺めや家族・身近な人を個人的な楽しみとして写したもの、あるいは映画のアイデアをメモしたものか。霧の立ちこめる草地に木立の影。川のほとりの少年と犬。廃墟に佇む男。窓から差しこむ斜めの光。タルコフスキーの映画を知る人は、いかにも彼の藝術に相応しいと感じるのだらう。それだけでなく、さほど知らない人(私のやうに)にも素晴らしいものだ。作者の名前が無くても、私はこの本を手に取るだらう。

instantlight

タイトルにはPolaroidsとあるが、六十点の作品のうち十四点は、コダックのインスタントフィルム(PR10だらう)で写されてゐる。長方形の画面のがそれである。正方形はもちろん SX-70 Time-Zero である。どこにも書かれてはゐないが、この本は Tarkovsky Polaroids and Kodaks なのである。二つのフォーマットは違和感なく並ぶ。ポラロイドの黄ばんだ霧、コダックの金に輝く壁、それぞれの美しさがこの本から伝はる。

タルコフスキー監督の映画は、ずつと前に「惑星ソラリス」を観たら死ぬほど退屈で、それきりだつた。この本を買つてから、DVDで「ノスタルジア」をみた。期待通り、この本に近い映像があつた。本に出てくる物が映画にも登場した。美しい場面がいくつもあつた。しかしやはり、少なくとも「劇」としては、どうにも退屈。

関連記事:ひび割れたポラロイド写真 / Andrey Tarkovsky : Bright, bright day

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masacova! の写真展、写真集『Holiday in』

2006/08/15(火) 01:14:39 [写真集] #

名古屋へ行つて、masacova!の写真展を見た。マサコヴァと読むのか、写真家の名前(雅号)ださうで。『ポラロイドライフ』で紹介されてゐるのは知つてゐたが、実際実物のプリントを見たら、思つた以上に美しい。600フィルム、スペクトラフィルム、ジョイカムフィルムと三種類が、額縁のガラスの中、ゆるく波打つ光沢、目に優しい色と諧調を湛へる。写真集の発売記念を兼ねてゐて、そこに本も並ぶ。

なかなか、かうは行かないものだ、と私が言ふのも何だけれど、その場で現像からプリントまで自動でしてしまふポラロイドで、整つたひとまとまりの写真を作るのは難しい。カメラ・フィルムの特性を経験的に把握し、撮影をする光や温度の条件をよく選んでゐるとは写真集にも説明があつて、それはさうだらうと納得である。

もちろんここで撮られたアメリカ(やメキシコ)は、多くの写真家によつて撮り尽くされたものではあるが、この人の、風景や人や生き物を愛ほしむ撮り方は好いな。どうして、この風景に惹かれたのか、そのあたりも察せられる。

ところで、本の帯にある「懐しい」とか「ノスタルジック」の言葉に違和感を覚える。日本に渡つてきたアメリカ人が書いたのか?

ある写真に郷愁を覚えるのも、異国情緒を感じるのも見る人の立場・経験によることだ。これは日本人が作つて、まづは日本人に売られる本でせう。masacova!さんだつて、初めて行つて、映画なんかで見たままの風景だつたのに感動した、と本のなかで言つてゐる。誰にとつて、どこがどう、nostalgic なのやら。

Holiday in Holiday in
masacova! (2006/07)
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